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尚美学園大学 総合政策学部 ライフマネジメント学科 スポーツコース 江頭ゼミ

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2013.9.10

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学生時代に熱中していたことが仕事に…

 大学時代のことはもう古すぎて覚えていませんが、あまりにも授業がつまらなかったので勉強らしい勉強はしていません。ほとんど授業に行かず写真クラブで、写真ばかり撮っていました。自分で言うのも変ですが、写真でお金をもらっていましたから、その頃はカメラマンも考えていました。でもカメラマンって体力勝負ですよね。20代のうちはいいですが40、50になって体力勝負の仕事は、キツイと思って写真を仕事にしようとは思わなかったですね。

 大学時代僕はスポーツ好きではありませんでした。中学、高校と体育の成績が悪かったんです。とても運動が嫌いで、スポーツにあまり興味がありませんでした。しかし大学が早稲田だったので、早慶戦があり写真を撮って欲しいと依頼され撮影していました。ラグビーの試合ではグラウンドに下りて撮影していましたし、野球の試合も撮っていました。それは野球が好きというよりみんなと騒ぐのが好きだったからですね。その当時誰が選手でいたの?と聞かれてもほとんど覚えていません。そのくらいスポーツに興味なかったです。

 当時エンタメが好きだったので映画、芝居、落語、コンサートにたくさん行っていました。私は三重県出身で大学進学時に上京して来ていたので、東京にいる間にたくさん本物を観ようと思っていました。だから、授業に行く暇がなかったです。それと僕は病的にラジオヲタクでした。子供の頃からラジオが好きで、どこ行くにもラジオ持って聞いていましたね。ハガキを投稿して読んでもらうのが病みつきになり、プロになった人が多いように、僕もラジオが大好きでした。

とにかくエンタメが好きだった。だから何となく職業を選ぶときに、放送業界に行きたいという気持ちがあり一般の放送局、中部日本放送を受けたんですよ。中部日本放送は日本で最初に出来た民間放送局です。当時の事業部はビートルズを呼んでいて、ローカル局なのに大物狙いの事業部でした。そこに刺激を受けました。入社して最初はラジオ編成部、そのあと制作部で番組を作り、6年間社長秘書もやりました。その後ニューヨークで3年間生活することになったのですが、そこで人生が変わりましたね。

こうしてJ SOPRTSに入社した!

JSPO02.jpgスポーツ業界を目指した人が念願叶って、スポーツチャンネルに就職した、と言うハッピーエンドのストーリーをご希望でしょう。全くと言っていいほど裏切られることになりますよ。先程お話したように3年間ニューヨークで生活をしていたのですが、その頃にアメリカが3大ネットワーク、4大ネットワークって地上波とケーブルネットワークとアメリカでは言うのですが、いわゆる日本のスカパーみたいな専門チャンネルのシェアが広がったんですね。つまり放送の勢力図が入れ替わったんです。1局ずつの力は3大ネットワーク、4大ネットワークには及ばないけど、塊で比較したら3大、4大ネットワークよりも専門チャンネルの方が沢山観られるようになっていたんですね。日本は今でも放送と通信に垣根がありますが、当時のアメリカの副大統領が情報スーパーハイウェイ構想と言って、その垣根をなくしたんです。その最中に私はアメリカにいたので興奮したというか、こういう時代になるんだと思ったんですね。世界の中でも最先端を行くNYにいて、仕事してるだけでは勿体ないと。それでNY大学に社会人のための学校に通うことにしました。そこは、今は銀行にいるけど放送業界に転職したい人とか、もっと放送業界の理論じゃなくて実際を勉強したい人が行く学校です。そこでアメリカや世界中の放送局の人や、放送業界の人と知り合って、面白いなと感じました。地上波よりも専門チャンネルの方が、面白いなと思ったきっかけです。そのあと日本に帰ったんですけど、世界中の放送業界の人と知り合って学んだ経験が私の中では大きかったですね。

 ニューヨークでの勤務が終わって、日本に帰国すると同時に転職しました。やっぱり日本でもこれからは専門チャンネルの時代だと思ったんです。それでJ sky B(現在のJ SPROTS)に自分を売り込みに行きました。一般公募もしておらず、これから会社を立ち上げるというタイミングでした。「私はこういう経験があります、地上波、海外、新規事業の立ち上げをやりました、雇っていただけないでしょうか」と面接官に積極的に自分をアピールしました。過度な自信があったわけではありません。しかしこれだけの経験をしてきているから、絶対に必要とされるはずだ、という確信がありました。そう思っていたのでぶれなかったです。媚を売るようなことはしませんでした。すごいことができますって言うより、失敗事例を沢山知っているということをアピールしました。そうしてJ SPORTSの前身となる会社に入社することになったのです。

 私がキャリアを積み重ねてきたキーワードは放送であって、たまたま扱っているコンテンツがスポーツというのが正直なところです。J SPORTSには私みたいな人は珍しいです。圧倒的にスポーツをキーワードに働いている人が多くて、放送をキーワードに働いている人はごくわずかです。私は放送を軸にして見て、スポーツを高く評価しています。その理由は、スポーツは生放送の価値があるコンテンツだからです。ドラマもバラエティも音楽も、録画して数日後観ても価値は変わりません。しかしスポーツはそうは行かない。日本がワールドカップ出場を決める瞬間を共有したいと多くの視聴者が思うコンテンツです。生放送じゃなきゃ面白くないっていうのは、要するに放送は今という時間を共有する媒体なんです。

 放送の1番の特徴は同じ時間に、たくさんの人がアクセスできる媒体で、しかも安いということ。放送は局が放送設備を作るのには何億、何十億ってかかりますけど1人が見ていても100万人が見ていても1億人が見ていてもコストが一緒ですよね。つまり、ある一定の損益分岐点を超えたら、あとはもの凄くプラスの事しか起こらないわけですよ。でも放送にも欠点はあって、停電になったら見られない。だから万能だとは思いませんが、やっぱり同時性っていうことが魅力だと思います。だからライブに生放送にこだわりたいですし、コンテンツとしてのスポーツは放送と相性いいわけです。

放送を通じてスポーツを盛り上げたい!

jSPO03.jpg スポーツが活性化するためにやっているので、スタジアムに行く人が増えたとか競技人口が増えたとか、それはもの凄く嬉しいことです。今や超メジャーになりましたけど「プレミアリーグ」なんて、開局したときから放送してましたが知られていなかった。当時日本でプレミアリーグって言ったら「なんですか?」って98%ぐらいの人が知りませんでした。スポーツ新聞に言ったって知らないんですよ。それが日韓ワールドカップの時に、ベッカムとかスター選手が来日して一気に火が付いた。ツールドフランスも開局時からやっています。当時はうちの社員でも、名前は知っているけどそのロードレースがヨーロッパでメジャースポーツということは知らなかったですね。当然、視聴者も知らない。それでもずっと放送していくうちに認知度上がってきた。今の自転車人口ってすごいですよね。すごい勢いで自転車人口は増えている。相当自転車業界は活性化してきていると思います。それはJ SPORTSがやっているからだけではないと思いますけど、かなり貢献はしていると思いますね。これらをJ SPORTSがやっていたからと、自惚れるつもりはないです。しかし地道に放送して来たことに先に目をつけてくれている人は、そこをずっと観てくれていましたし、少なからず貢献はしていると思っています。

 もう1ついうと、専門チャンネルがあると地上波がニュースで使いやすくなるんです。例えばブレーク前のプレミアリーグ、フジテレビやTBSがニューススポーツで紹介しやすくなるんです。海外に問い合わせて映像素材を取り寄せるよりも、J SPORTSがその映像を持っているから、J SPORTSに提供してもらおうと考える。それこそ電話1本で、英語が話せなくても時差を気にしなくても、スグに映像素材が使用可能か否か解るわけです。そうするとスポーツニュースのバリエーションが膨らみますよね。よくニュースで映像提供をWOWOWとかJ SPORTSってクレジットが出ると思うんですけど、それはスポーツチャンネルの貢献している部分だと思っています。

 これは私の自論なのですが、地上波は決勝戦を放送するメディアで、無料のBSには準決勝を放送してもらい。専門チャンネルは予選から決勝まで全部放送するメディアだと思っています。ひとつの大会を多彩なメディアで露出して行かないと、スポーツは盛り上がりません。1つのメディアが囲い込んで独占放送だけしていたら、絶対に盛り上がらないと思います。複数のメディアで放送することで、視聴者への接点が多くなります。その最たるものがオリンピックです。NHK含めて全局で放送しますよね。だからもの凄く盛り上がるんです。他のコンテンツでも同じこと、複数のメディアが放送しないと駄目なのです。甲子園がなんで90回の歴史を数えて盛り上がっているのかと言ったら、朝日放送系、朝日系、毎日系、朝日新聞、毎日新聞、NHKがやっていたらもう日本のメディア全部がやっているのと一緒ですよね。だから盛り上がるんです。つまり私は地上波と一緒に組んで、やって行こうと思っているのです。この構造をうまく作りたい。番組の作り方も違います。スポーツに解説と実況だけしか入れずに完全中継するのが私たち専門チャンネル、タレントを入れたりして盛り上げてくれるのは地上波だと思っています。私たちは、お金を払ってでも放送して欲しいという人のニーズに応えなくてはなりません。地上波と組んで、図式を早く構築できたらスポーツファンは増えるのではないかと考えています。そして色々な競技に注目が集まっていくキッカケを作り続けるのがJ SPORTSの役割だと思います。

 前にも言いましたが、「私はスポーツ大好き」ではありません。だからこそ、スポーツの素晴らしい所を客観的に評価できると思います。スポーツを愛している人は美化してしまっている事がある。美化してしまったことで、スポーツを正しく伝えられなくなるケースを多く見て来ました。毎日スポーツの番組だけを放送している職場にいたら、スポーツ好きになっていくのが自然です。だから私は抗っているのです。スポーツ愛が偏向してはいけないと、努力しています。スポーツ業界で成功するには必要な要素だと思います。私だけでなくTOPでスポーツマネジメントしている人には多いですね。スポーツを冷静に見られること、偏った愛好家にならないことを自分に課している人が。

スポーツビジネスを目指す学生にアドバイス…

 「学生時代にしておけばよかった」と後悔していることと言ったらやっぱり勉強ですね。政経学部の経済学科だったから、もっと経済学を勉強しておけばよかったと感じます。特に数学的な経済とか計量経済とかは統計だから、もっとやっていれば全然違っていたのかなと思います。あとは、本物を観ることですね。とにかく学生時代は時間があるのですから。スポーツが好きだったら、日本で観られるスポーツは全部生で観てください。やっぱり現地に行かないと面白くないです。その場所の匂いだったり、音だったりは現地に行かないとわからない。それをいかにうまく伝えるか、ということを工夫するのがスポーツメディアだと思います。現場に行かないと工夫もへったくれもないじゃないですか。だからそれは絶対見て欲しいし、もっと言えばスポーツだけでなく、歌舞伎、芝居、コンサートなどのエンターテイメントの演出も見て欲しいです。どこにでもヒントって転がっていると思いますよ。とにかく私がよく学生に言うのは、インプットとアウトプットですね。インプットがないとアウトプットも出ないです。調べてたくさん蓄積してそれを整理して出すということです。

 学生さんから「忙しい」という言葉を時々聞きます。社会人からしたら「もったいない」と言われますよ。社会に出たら学生時代の100倍は忙しくなります。熱が出たって、会社は休めない。仕事の締切を守らなかったら、次から重要な仕事はさせてもらえなくなるので、家に持ち帰って徹夜してでも仕上げないといけない。それに比べたら学生時代は、圧倒的に時間があります。それなのに「忙しい」というのは、私からすれば「自分は出来ない学生です」と宣言しているようなものです。工夫すればいくらでも時間は捻出できます。学生のうちは時間があるんだから今のうちに沢山インプットをして下さい。


<取材・編集/ 安ヒソン、大野慎介、杉本輝>