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尚美学園大学 総合政策学部 ライフマネジメント学科 スポーツコース 江頭ゼミ

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2017.10.17

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プロ野球球団のお仕事

私は球団業務の中で「球場運営管理業務」を担当しています。(2017年5月現在)
ここZOZOマリンスタジアムにおいて、選手のプレーする環境を整え、来場されるお客様が安心・安全・快適に観戦していただけるために球場運営管理の業務を行っています。
例えば、人工芝や照明などの球場基本施設を整えることや、来場されるお客様がより快適に観戦していただけるように、座席が壊れていないか確認し修繕を行うこと、飲食提供サービスを充実させることなどの業務です。
お金をいただいてご観戦いただくお客様に、より快適にお過ごしいただく空間をご提供する、そのために何をすべきかという仕事です。
プロ野球の球団といっても業務範囲は幅広く、部署によってそれぞれが全く違う仕事をしています。例えば、広告やご協賛をいただくために営業で広く協賛企業に企画提案をする人、チケットの販売管理をする人、遠征のための交通機関を手配など選手のサポートをする人、選手のコメントをとりマスコミと対応し情報を発信していく広報の人など様々な専門分野があるのです。

このお仕事に就いたきっかけ

 私の前職は、旅行代理店で営業の仕事をしていました。学生時代の先輩たちもいましたので志望し入社しました。現在のこの業界に入ったのは社会人になって5年目の時で、最初は現在の㈱千葉ロッテマリーンズとは別会社の㈱千葉マリンスタジアムという球場運営会社に入りました。私は千葉県出身で小さい頃から野球が大好きでした。そんな自分にとって地元千葉県にプロ野球の球団がやってくるということは夢のような話でした。1992年のロッテ球団の千葉移転にともない㈱千葉マリンスタジアム社の募集があり、これはチャンスだと思い、ぜひ球場管理業務をやってみたいと応募し、採用していただきました。(その後、2006年に球場会社から㈱千葉ロッテマリーンズへと転籍)

今までにやりがいを感じた瞬間とは

 やはり月並みですけど、たくさんのお客様にスタジアムにご来場いただき、お客様から「今日は楽しかったね」と言っていただくというのがこのような仕事についていちばんよかったなって思う瞬間ですね。本当にシンプルですけどそこに尽きるのかなと思います。

青年海外協力隊での経験

lotte02.jpg1996年、球場会社で働いているときに日本(千葉)で16歳以下の世界野球選手権大会が開催されました。
色々な国の子供たちがマリンスタジアムを訪れ、その大会運営に携わっているときに「世界って広いな。野球を通じて交流が深まることは素晴らしいな」と強く感じました。「今の自分が何か携われる機会はあるのだろうか」と考えたときに青年海外協力隊に野球隊員というものがあり、野球を通じて国際貢献活動ができるチャンスがあることがわかりました。協力隊の試験を受験し合格、会社に無理にお願いして一時休職を認めてもらい、青年海外協力隊野球隊員としてアフリカ南部のジンバブエ共和国に派遣されることになりました。
派遣前研修で英語の勉強はするのですが、当時の私の英語力は英検2級程度で、いざジンバブエに行き野球協会の人と英語で会議し議論を行ったりする状況ではかなり苦労しました。
私自身、もともと「こうあるべきだ」とか「こうでなきゃいけない」という風に思い込むタイプの人間だったので、ジンバブエという異文化の中で生活し活動する中で、日本で当たり前だと思っていたことが全くあたりまえではなく、日本の常識が非常識などということもザラにあり、本当に驚きの連続で、最初は大きなカルチャーショックを受けました。海外の異文化の中でいろいろなことにぶつかった経験は、今の自分にとって何よりの貴重な経験になっています。

学生時代にやっておけばよかったこと

 大学卒業の時に一番思ったことは、部活動ばかりの学生生活だったので、海外など色々なところをもっとみておけば良かったなと思いました。卒業旅行の時に初めて海外(アメリカ)に行き、こんな世界があるのだということを実感し、「もっと英語をやっておけばよかったな」とか「もっと早くこういう世界をみる機会をもてていたなら人生変わったのでは」と思いました。自分が学生時代にやってきた運動部の生活には全く悔いは無いのですが、今、もう一つ何か選べるとしたら国内・海外を問わずもっと外に出ていっていろいろな人と話す機会をもち、コミュニケーションのやり取りをもっとやっておけば良かったと思いました。

野球関係のお仕事に就きたいと考えている学生へのアドバイス

 大きく分けて二つほどあります。
まず一つ目は、この仕事の大事な部分は「いかにお客様に楽しんで満足していただくか」「そのために自分は何ができるのか」、そこをきちんと理解したうえで業界に入ってくるということが大切だと思います。スポーツが好きだからという理由でこの業界に入ってくる人はたくさんいます。誤解を恐れずに言えば、自分自身がスポーツ(野球)を好きかどうかということは入ってしまえば最重要なことではないと思います。野球(スポーツ)をそこまで好きでなくても今の仕事をバリバリやっている人、私などよりはるかに良い仕事をされている方(業績をあげられている方)がたくさんいます。本質は「いかにお客様に楽しんで満足していただくか」「そのために自分は何ができるのか」そこをきちんと理解して業務にのぞむことだと思います。

 二つ目は「コミュニケーション能力」です。コミュニケーション能力は、人として社会人になって色々な仕事をする上で一番大切だと年を重ねるごとに思うようになりました。
それは外国語ができるとかいうことでは無くて、自分が思っていることを相手に分かってもらえるようきちんと伝えるということがいかに大事なことかを日々痛感しています。
話し言葉であったり、メールでのやりとりであったり様々なコミュニケーションの手段があると思いますが、やはり自分が伝えたいことをきちんと伝えることができるというのはすごく大事なことだと思います。「コミュニケーション能力を高める」ということを学生時代から意識してやっておいたほうが良いと思います。

~2020年東京五輪~

私の場合、今思えば「ただ野球が好きだから」「生まれ育ってきた地元にプロ野球がくるから」「野球の近くにいたい」という単純な動機づけで入ってきた部分がありました。
この業界の仕事は「サービス業」であり、最も大事なところは「大事なお客様をお迎えし、お金をいただき、楽しんでいただく、満足していただく」ことだと思います。私は若い時その最も大事な部分をよく分かっていませんでした。
自分が野球を好きだから入社して、野球が好きだから仕事をする。という風に勘違いしたのです。本当にやるべき事は「お客様が主役であり、お客様に楽しんでいただく、満足していただく」、「そのために何をすべきか」というのが仕事であるわけです。当時の私は恥ずかしながらその点がわかっていなかった。そこはやはり勘違いしてはいけないなと思います。

昭和の時代、私が運動部にいた頃は、スポーツというのはエンターテイメントとして観るというよりは、例えば高校野球とか大相撲とかオリンピックとか「スポーツは、襟を正して観る」という感じが強かったような気がします。今現在は、世の中に楽しいことがたくさんあり、スポーツもその「エンターテインメントの中のひとつのコンテンツとして楽しむもの」というふうにどんどん変化してきていると思います。

スポーツに対する楽しみ方は多種多様です。実際に「自分が行うスポーツ」「観るスポーツ」、ボランティア等で「支えるスポーツ」においても、様々なかたちで「スポーツを通じていかにして楽しむか」ということになってくると思います。
2020年東京オリンピックに向け、もっとスポーツを楽しむということがより身近になってくると思います。海外からも多数のお客様を日本がお迎えすることになります。そこでまた海外からいらしたお客様がスポーツを通じてどういう楽しみ方をしているのかというのも目の当たりにするわけですよね。日本のスポーツの楽しみ方も東京オリンピックを通じて更に変化していくんだろうなと思います。


<取材・編集/國吉 紗永、遠藤 友也 仲村 瑞樹、村木 義克