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尚美学園大学 総合政策学部 ライフマネジメント学科 スポーツコース 江頭ゼミ

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2015.7.17

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夢の実現に向けて
~選手から指導者への転身~

私は、26歳でサッカー選手としてのキャリアを終えました。それまでは湘南の練習生としてプレーをしていたのですが、自分なりに納得をしてサッカー選手という生き方に区切りをつけました。それから約1年の間、就職もせず今後の生き方について自問自答を繰り返しました。そして、「Jリーグで仕事がしたい、監督になりたい」と思いました。私は選手としてそれなりのキャリアがあって、小学校から大学まで全て選抜チームに入っていました。それでもプロの世界では練習生止まりでした。そこに対する悔しさはありました。ですので、Jリーグで監督がしたいというのもある意味リベンジのようなところもあったと思います。

 サッカー指導者を目指している方はご存知かと思いますが、サッカーの指導者になるにはJFAの指導者ライセンスというものを取得しなければなりません。C級からB級A級S級とステップアップしていくのですが、私はC級を取る前からS級を取れるものだと思っていました。夢を叶えるには必要なものですから。その時にどうしたらライセンスが取れるのかということは知りませんでした。ライセンスを取りたいという想いだけです。夢を持つ人ってそうだと思います。ですから、夢を思い続けることが大事ですね。

 S級ライセンスの受講生同時期に元日本代表の名波浩がいました。名波には選手としての実績はあったが指導者としての実績はありませんでした。私には指導者としての実績がありました。その時点で指導者としては勝っているなと思ったのですが、筑波大学の学生に指導実践をしていた時、名波が「こうだ!」と言うと選手の側はしっかりと受け入れる。それに対し、私が選手にアドバイスをしても聞く耳を持ってもらえない。これは特に悔しかったですね。

ある人との出会い

nagano02Z.jpg私が今こうしてS級のライセンスを取得してプロの世界で働けていることの大きな要因として、美濃部さんとの出会いがあります。コーチとして最初の扉を開けてくれたのも美濃部さんでした。私が今後どう生活していくか迷っていた時に美濃部さんと出逢い、美濃部さんの練習をよく見学させてもらいました。私生活でも仲よくしてもらい、家族ぐるみのお付き合いをさせてもらっています。

 美濃部さんはとても気さくな方で、話しかけると気さくに話してくださるのでしつこく付きまとった覚えがあります。今でいうストーカーですね(笑)その当時は、この人について行ったらJリーグのコーチや監督になれるといった、打算的な下心は一切ありませんでした。ただ美濃部さんの下で勉強させてもらいたいという想いだけでした。

 我々プロの業界では、成績不振などの原因でコーチが監督を辞めさせることを「押す」と言います。コーチでS級を持っていると押すことが出来ます。ですから普通の監督はS級のコーチを嫌がります。でも美濃部さんは私を信用して使ってくれています。私も美濃部さんを押す事は絶対にありません。彼が失敗したら私もキャリアを終える覚悟は出来ています。それくらいの信頼関係は成立していると思っています。

 ただ、美濃部さんから「俺を抜いて行け」と言われることもあります。成績不振で監督辞任、「あなた監督してください」と言われた時にオファーがあればそれはプロの世界ですし、自分で判断する範囲以内だと思います。ですが私が監督を後ろから押すということは絶対にないです。反対に超えるという条件の中で来年他のチームに出て行って、違うチームでヘッドコーチしてどんどんキャリアを積んでいくという方法で追い抜くことしか考えてないですね。

プロフェッショナル

 私はJリーグの監督を目指していますが、今はヘッドコーチであヘッドコーチの仕事は、監督がやりたいことの手助けをするというものです。ですから選手に言葉を掛ける時、特に戦術的な言葉を掛ける時には細心の注意を払っています。言葉は独り歩きをしてしまい、結果として監督に迷惑をかけることになってしまいます。

 指導外の面では、選手と年齢が近いので、よくコミュニケーションをとっています。監督との間に入って話をする、監督が怒った選手に対してのケア、甘えている選手へのコントロールというのを意識してやっています。一番大切なことは監督のサポートです。監督が意図することを先に読んで行動する。それは誰かに教わった事ではなく、私が監督になった時に雇いたいコーチに何を求めるか考えて、自分の行動を決めています。また、監督以外のスタッフとのコミュニケーションにも気を配っています。リレーションシップを大切にして、スタッフの専門知識を引き出せるようにしています。

サッカー指導者を目指す人へ

 目指さない方がいいかと思います(笑)。指導者は食べてくことのできない仕事です。生半可な気持ちで足を踏み入れない方がいいです。『憧れ』だけでは生きていけないですから。私自身、多くの苦労を経験してきました。私はもう1度人生をやり直すとしたら指導者の道は選ばないですね(笑)。

もし本当に指導者の道に進もうと思うなら、様々な競技を見て経験すること。そして多くの指導者と実際に会って話をすることですね。他の競技の指導法を目で見て勉強する。サッカーと野球の指導の仕方はまったく異なりますから。またたくさんの指導者と話をすることで、言葉の引き出しも増えていきます。物事を伝える時に、自分の言葉だけでは不十分な場合があります。その時に他競技の指導者の言葉を借りて話をしてみるといいですよ。

出会いというのは本当に人生を決めるキッカケになります。いい人との出会いが無いのなら、諦めずに色々な場所に出向いて出会いを探してください。それが成功のキッカケとなります。人は一人では生きていけません。人は人に支えられて生きています。人との接し方に注意をして人を尊重していれば道は開けます。チームは一人で動かすことは出来ないということを肝に銘じてください。

最後に、プロとして誇りを持ってください。プライドを持って自分を高めてください。たとえ給料が安くても、お金を頂いていればそれはプロです。もしそれが出来ないのなら、この業界を目指さない方がいいと思います。

<取材・編集/ 坂部良一郎、伊東歩友夢>