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尚美学園大学 総合政策学部 ライフマネジメント学科 スポーツコース 江頭ゼミ

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2016.10.10

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脳梗塞や骨折など整形外科関連の疾患で、入院された患者さんのリハビリを中心に行っている森田さん。スポーツ競技者のリハビリをすることも多く、勉強することは尽きないという。どうして理学療法士という職業を選んだのか尋ねてみました。

この仕事を選んだ理由

 僕は小中高と野球をやっていて実際に僕がリハビリを受けたのが最初のきっかけかもしれないですね。その時は身体の事や、怪我の事も無知でしたので「明日レギュラー選考出れますか」とかリハビリの先生に聞いてたんですよ。「治ってないけどテーピングまけば大丈夫ですか?」とかそういうことばかり言っていた時にリハビリ室で説教されたんです。「君は今出たいのか、最終的に最後の大会レギュラーとして出たいのか」それによって変わるから考えなさいって言われました。私は「最後の大会に出たいです」と答えたら「明日は諦めろ」と言われました。その結果、最後の大会レギュラーで出れたんです。その経験が、私にとって理学療法士のひとつのモデルになっています。患者さんに身体のことを教えるのは勿論、正しい道を選択でるように導く事もいいことだなと思ったんです。
 私の母親が福祉の仕事やっていて理学療法士と関わりがあったんです。母に相談すると、「せっかく患者さんの気持ちも分かるんだからやってみたら」と後押ししてくれて、高校卒業後、理学療法士の勉強をする学校に入りました。

理学療法士の勉強をはじめた

 高校時代野球ばかりしていたんですが、成績は悪くなかったんです。その理由は高校が文武両道じゃなければダメだったんです。レギュラー選考にも通知表の結果が反映されていました。野球部の中で成績の高い順から全員並ばされて、赤点取ってると一番最後で、説教をくらうということだったので、最低限の勉強は一応してました。最後は追い込みましたけど、基本的に成績はよかったです。その結果、僕は推薦で入れたのは、幸運でした。

専門学校時代

 僕が行った学校は4年制でした。卒業試験を受けた後で国家試験を受けて、理学療法士になれるんです。学校の卒業見込み証明書が無いと国家試験が受験できない仕組みになっています。ですから難しかったです。医療関係者として患者さんに接するので、解剖学、生理学、運動学、病理学、臨床心理学など専門的な事ばかりでした。入学した人数の半数程度しか卒業しなかったと思います。途中で留年してしまうんです。僕にとっても大変でしたが留年せず乗り越えました。実習は2ヶ月間3回あって、そこでは実技もそうですが社会人としての評価もされます。でも難しいばかりではありませんでした。理解してゆくと面白くなるんです。自分が高校球児だった頃の怪我を、思い出してみたりしていました。基本的に自分の身体についての学びですから。

理学療法士としてのやりがい

 入院患者さんやスポーツ選手で、そんなに大きな違いはありません。やりがいと言うのは、動けなかった人であったり、手術されて一緒にリハビリした人が元に戻る、スポーツしてる人なら競技に復帰してゆくことです。スポーツをしている人が、復帰して結果を出せたと、手紙で知らせてくれることがあります。そういう時に「やりがい」を感じます。入院患者さんですと、脳梗塞や骨折で入院生活をしなきゃいけない状況の時に私達が、回復のお手伝いをします。その後家に帰って趣味が出来たよとか、初めて電車に乗れたよとか、そういうのを聞くことでやってよかったな、と感じます。その人の時間に僕たちも介入出来て一緒に過ごせたことがよかったなって言うのは、一番のやりがいに変わるかなと思います。

 治すことが出来ない場合もあります。総合病院ですから病気になられてくる人ばかりですから、100%治るというわけにはいきません。そのときにじゃあやりがいが無いかって言われると、そんなことはありません。じゃこの患者さん80%治るのであればまず、80%までもってくようにするとか、あとの20%は家の環境を変えれば、元の生活が出来る場合があります。その家の改修工事に立ち会って見届けることもあります。スポーツ選手は、競技に復帰出来ないというケースもあります。やっぱり自分を責めるじゃないですけど、もっと勉強しなきゃなと思いますし、自分をもっと高めなきゃと常に思うようになります。ですが、リハビリというポジションは改善してゆく経過をお手伝いする仕事ですから、辛いことよりも治っていく過程を見られる事例が多いです。

学ぶことは止められない

morita02Z.jpg いま勤務している警察病院には、整形外科や脳外科など多くの科があります。ですから様々な病状の患者さんがリハビリに来ます。脳梗塞で麻痺が出ている患者さんから、内科疾患で手術を受けた高齢者の患者さんは、何日もベッドに横たわっていたので歩くことが困難になっているケースもあります。幅広く患者さんのニーズに応えられる様になるには、本当に多くの事を学ばないといけない。例えば酸素吸入中の患者さんなら、圧や濃度にどのような意味があるのか、点滴しながらリハビリを行う患者さんなら、点滴薬についての専門的な知識が必要になります。同じ足を骨折した患者さんでも体格や、日頃の運動量によって全く異なります。ですから全ての患者さんから学んでいる、といった状況です。

 全部病気を治せるようになることが理想です。例えば今治せる病気があって一年間かかるとしたら、自分がもっと勉強したら早く治せるかもしれない。患者さんの入院費だって少なくなるし、スポーツ選手だったら競技から離れる期間が短くなるので契約にも影響がある。いつも思うのが、全く同じ症状の患者さんが来たら以前より短時間で治せるようになっていたいと思いますね。

好きなことだから出来る

 こういう職業って学ばなくなったら終わりだなと思います。例えば、新しい症状の患者さんが来た時どこが痛いとか聞いたり、実際に身体に触るだけでも学ぶことが沢山あります。僕達リハビリだけでは無く、看護師も医師も専門技師もみんなそうです。一緒に仕事をしている人たちが、学ぶことを止めない人達ですから、恵まれた環境かもしれません。反面それが苦しくなる人もいるかもしれません。

これから

 この仕事に就いて9年目ですが、今いる病院は命を助ける病院なんです。ですから重病人の回復期をお手伝いするケースが多くなります。それはとても意味があって重要な仕事ですが、今後僕自身が他の分野に興味を持つこともあると思いますし、今の病院でずっと続ける意義を見つける可能性もあります。ですが理学療法士という仕事を通して、患者さんの身体の回復を支援する仕事はずっと続けて行くと思います。

大学生に向けて

 どんな仕事でも努力を怠って、やっていける職業は無いと思います。ですからずっと学び続けられるだけ、興味関心を強く持っていないとダメだと思います。じゃあそれが何かという問題は自分で解決するしかありません。
 警察病院でも研修生を受け入れています。研修で来る大学生に欠けているのは「社会人としてのチカラ」だと思います。ですから大学時代身につけておくべきことは「社会人としての常識があり、行動できること」だと思います。正しい日本語は使えますか?尊敬語と謙譲語とていねい語が混じっていませんか? 大学生にそう尋ねると「大丈夫です」という答えが返ってきます。でも出来ない。それは「知らない」からです。研修生の時に始業の3分前に職場に来るのは当たり前ではありません。授業やバイトとは違うんです。興味関心のあるものに出会うこと。そして社会人としてのチカラをしっかりと身につけておくことが重要だと思います。

<取材・編集/ 伊井鳳都、若井孝充、金谷大雅、豊岡慎也>