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尚美学園大学 総合政策学部 ライフマネジメント学科 スポーツコース 江頭ゼミ

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2014.7.19

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スポーツ業界へ

 小学三年生ぐらいから、中学生までリトルリーグとシニアリーグで本格的に野球をやっていました。高校では野球を辞めました。今までが野球中心の生活だったのでぽっかり穴が空いてしまい、何かやろうと思い、もう一つ好きなスポーツがラグビーだったので大学ではラグビーをしていました。

 学生の頃はスポーツ業界に就職しようとは全く思っていませんでした。ずっとラグビーと恋愛をして、授業もあまり出ていなくて、あまり人に誇れるような学生時代を歩んでいませんでした。ただ、私立大学まで出してもらって就職しないわけにはいかないと思い、当時はバブルがはじけた後で就職氷河期だったのですが必死に内定を取りました。ですからその当時は内定を貰うので頭がいっぱいだったので、スポーツの仕事がしたいとは考えてなかったですね。結果的に今は楽天球団で仕事をしていますけど、実は球団職員になりたいとは思ったことはないんです。最初の仕事が自分に合わなくて、初めて「自分は何がやりたいんだろう」って考えたんです。その時に物を作ったりするのが、なんとなく好きなのかなと気づきました。それで記者を経てプロ野球の携帯サイトの会社に入ったんです。そこに入ったのがスポーツと関わるきっかけでした。

 ここが転機で、仕事に対する責任がすごく大きくなりました。球団オフィシャルサイトを始めてから、「仕事とは何か」と考えるようになり、「誤字脱字がどれだけお客様や会社に迷惑をかけ、選手や球団を傷つけるのか」ということに気づきました。「自分の作ったものが確実に見られている」そこの責任感や楽しさを感じるようになりました。


ファーム運営の仕事内容

 一軍の試合には、多くの人が携わっています。チケット、ファンクラブ、経理関係。それだけではないですが、それぞれの分野で専門の人たちが担当しています。でも二軍は、それを全部一人でやらなくてはならない。球場の確保やチケットの販売、告知、運営、備品などの手配、細かい所まで全部僕の仕事です。フォローには入ってもらいますが、チームやスタッフは付けないで準備に関してはほとんど一人です。球場の外の調整もしていて、駐車場や警備の配置なども考えたり、選手バスが入るときに混乱が起きないようにしたり。トレーニングルームやホテルの確保、病院とも必ず連絡を取らなくてはなりません。他にもたくさんあります。
ホームの利府球場の場合は、ボランティアさんもどういう動きをしたらいいか分かっているし、選手も勝手が分かっているのでやり易いんですけど。地方試合で新しい球場だと、備品を移動したり、スコアを出す位置や選手ロッカーの場所、監督室など一から決めていかなければなりません。

 試合全体のスケジュールを立てるのも僕の仕事なんですが、基本の時間が決まっているので試合前のイベントによって練習時間も変わってきてしまいます。変更が決まったら再度申請しなくてはいけないので。ミスは許されないです。試合の2週間前に仮のスケジュールを作って全体に回すのですが、ギリギリまで調整して完璧になるのは試合前日くらいですね。
とにかく全部1から100までやるんです。何かあったときが一番怖い。何か抜けていたらダメだし、全部自分が頭に入れておかなければいけません。何か聞かれたらすぐ答えられるようにしておかないといけない。ですから、余裕をもって試合に臨むことはまずないですね。

 今は会社が「売り上げるよりも、少しでも多くのお客様に見てほしい」というコンセプトですから、いろいろな工夫をして球場に足を運んでもらえるようにしています。例えば、「募金をしてくれたらチケットを差し上げる」とか。もちろん正規で買って頂いたお客様もいるので、そこをどうするかなんですけど。今のところお客様からそういうお話は来ていないですが、来たときには誠意を持って接したいと思います。


仕事が楽しい!

rakuten04.jpg選手やスタッフの人数分のお弁当を発注するのも僕の仕事です。発注ミスをしたときは自分の分を渡すこともありますし、数が少なければ急いで買いに行ったり、取り寄せないといけないんです。食べ物の恨みって恐ろしいんですよ。なので、お弁当ひとつにしても細かく確認しなければなりません。選手がケガをしてしまった時のためにAED、担架がどこにあるのか必ず確認し、試合ごとに病院とも連絡を取らなくてはいけません。救急車がグラウンドに入れるのか、どの位置に着けるのかなど、トレーナーが分かるようにしておかなければいけないことがたくさんあるんです。試合前のイベントで花束贈呈があるんですけど、楽天球団は基本的に花束を用意しないんです。でも直前になって花束が無いことに気づいたことがありました。なんとか乗り切れたのですが、そのとき私は「花束が何時に納品されるか」ということを確認しなければならなかったんです。

 事前の準備はもちろん、試合中も色々なことが気になって試合はほとんど見られていないですね。だからスポーツに携わってはいますが、そんな感じがしないんです。もちろんチームが勝つのは嬉しいですけどね。周りの人と一緒になって無事試合を終えた時って、達成感や安心感があるんです。大変なんですけど、それを全部こなした後に「現場って楽しい」と思いますね。もちろん反省点も毎試合あるんですけどね。仕事は何もないってことはないんです。絶対トラブルがあります。逆にスムーズに行き過ぎると何かあるんじゃないかと不安です。そういうのを乗り切って仕事に対して全力でやれた自分を褒めてあげたいし、結果が出なかった自分を責めたいし、もっと何かできたんじゃないかって思いもありますね。

 スポーツをやっていて「完璧!もうこれ以上ない!」と思うことないですよね。僕の場合ラグビーをやっているとき、「俺なんでラグビーしているんだろう」と何回も自問自答したけど答えが出ないんです。でも「全然ダメだったな」と思いながらも、またラグビーやりたくなる自分がいるんです。それに近い感覚を仕事で味わえているから、楽しいと思えるんだと思います。

 去年楽天球団が初めて日本一になって思ったのですが、スポーツが与えてくれる感動に一般のお客様よりちょっと近くにいられるんです。それがあるから頑張れるような気がしています。

この先は…

ファームの試合だからお客様が入らないという固定概念を壊したいと思っています。まだまだできることはあると思います。どこの球場でも試合はできますから。一人でも多くの人に見てもらえれば、楽しんでもらえる自信はあります。今まで東北六県活動は仙台でしか企画していませんでした。ファームは今年地方での試合が11試合。楽天球団が地方試合を増やしている理由は、球団名に「東北」が入っているなら、「東北から愛されることをしなければ」ということで、各県で試合を開催しています。他の地方にも行きたいですし、東北以外のファンの拡大もいずれはしなくてはいけないんですけど、まずは東北六県活動。東北の皆様に愛されることが優先です。その半分以上は自分がやらせてもらっているので、ドキドキもありますが楽しみですね。

スポーツ業界を目指す学生へメッセージ

 学生時代やっておけば良かったと思うのは勉強ですね。物事を伝えるのも受け取ることもそうだし、言葉足らずの事もあります。仕事場で色々な人に出会うんですよ。そういうときに上手くコミュニケーションをとるには、仕事の話をするだけではなくて、土地柄や歴史の話とか色々なことがリンクしています。知識がなければ雑談もできません。そういう意味で知識は必要だと思います。

 ちゃんとした仕事をしたいと思うならば、スポーツにこだわらなくてもいいと思います。
でもやっぱりスポーツが好き、やりたいと思うならチャンスは来ます。そのチャンスが来たときにちゃんと自分が満足できるパフォーマンスを出すためには、何が自分に必要なのかを考えれば視野も広がっていくと思います。そうすればスポーツの仕事に携わらなくても、頑張れることはたくさんあるはずです。

 僕もこのような仕事をするとは思っていませんでした。でもとても仕事が楽しいです。これまでに上手くいかなかったこともたくさんあって、失敗だらけで周りの人にたくさん迷惑かけたけど、手を抜いていたという感覚はありません。周りから見たら手を抜いていたと思われることもあったかもしれないですけど、僕は一生懸命手を抜かずやってきました。
 自分に起こっていることって自分に必用な経験だと思うんです。チャンスは絶対に来ます。ジャンルをくくらずに、壁を作らず目の前のことを一生懸命やればいいと思います。


<取材・編集/ 出縄大輔、木次考太、武藤飛鳥>