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尚美学園大学 総合政策学部 ライフマネジメント学科 スポーツコース 江頭ゼミ

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2013.7.21

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大学時代

 大学二年の時に授業の一環でクラブマネジメントの実習がありました。筑波大学のカリキュラムに鹿島アントラーズがありましたが、みんなとは違うクラブで実習したいと思っていました。サッカー部の2年上にエスパルスジュニアユース出身の先輩がいて、この方の紹介でエスパルスの実習に行けるようになりました。それまでサッカークラブの仕事があることを知らず、最初は私もプロ選手を目指していました。しかし、大学の同期にはプロレベルの選手が多くいて、「プロ選手は難しいな」と自分の実力を痛感した頃でした。
大学の実習以降、サッカー関係の仕事が面白くて、長期休みごとに自分で直接やりとりしてエスパルスのインターンシップに行くようになりました。期間は短くても1週間、長くて3週間程受け入れてもらいました。インターンシップ中は、ホームゲーム開催に伴うイベントの準備などの業務をしていました。主に力仕事です。いつもスタンドから見ていた風景ではなく、ピッチレベルから客席を見上げた時になぜか鳥肌が立ったことは今でも鮮明に覚えています。お客様が試合中喜んでいる、そこに携われた喜びというものがあり、学生時代にサッカークラブの仕事は面白いなと感じました。私は入社する前に職員の名前を全員分覚えていました。職員の方も私のことを認識していて、すんなり会社に入っていけました。そういう意味では、インターンシップを長くやっていたことはメリットだと思います。就職活動中、いつかはサッカークラブの仕事をやりたいと考えていました。その頃、金融機関の企業からは内定をいただいていましたが、3つ下の弟に「なんでサッカーの仕事いかないの」と言われてしまったのです。その言葉が自分の中で残っていました。この選択が正解かどうかは分かりませんが、今出来るチャンスがあるのなら挑戦してみようと思い、サッカークラブを選びました。

広報時代の経験が今に活かせている

004.jpg エスパルスに入社して8年が経ちます。現在、営業企画部に配属され3年目になりますが、入社当時は広報を担当していました。広報はメディアの方々と仕事をしますので、その時にメディア業界の仕組みを勉強しました。エスパルスのことを知っていただくための方法のひとつとして、広告を打つという方法があります。しかし、それにはお金がかかります。広報の仕事としては、コストをかけずにニュース性を高め、出来るだけ多くの方にエスパルスの情報を届ける、ということが大事なことになります。例えば、この人とこの人を繋げれば企画として成り立つだとか、スポンサーと番組をひとつにして試合前や試合後に放送してもらうなど、メディアの方々と何度も相談しながら露出の機会が増えるように試行錯誤してきました。クラブは責任を持って情報を発信しなくてはなりませんし、メディアの方々との信頼関係がとても大切になります。このような案件を経験したことは、営業企画部に異動になってからも活かせていると思います。
 入社して最初の配属先が広報だったことは私にとって良いことだったと思います。基本的には何事にも前向きに、ポジティブに考えていますので、どの部署に配属になっていても良かったと感じていたでしょう。どのような部署が最初でも、自分の武器にすることが出来ます。それは本人の努力次第です。

営業企画部の仕事 お客様の笑顔が見たい

 営業企画部では、スポンサーを獲得したり、入場者数を増やすための施策を考えたりしています。お客様に楽しんでもらうために、スポンサーを絡めたイベントの企画もしています。スポンサーの商品をPRしつつお客様に楽しんでもらう、イベントのボリュームをいかに出せるかというのを、色々考えてやっています。5月25日の仙台戦では、メルセデスベンツさんがマッチデースポンサーで、ベンツに乗って写真が撮れるというイベントを企画しました。メルセデスベンツさんの意図としましては、商品(新型の車種)を知ってもらい、実際に触れてもらうことでした。お客様にその場で写真を撮ってお渡しすることで記録と記憶に残り、メルセデスベンツへの愛着度が高まっていく。そういうところでメルセデスベンツさんに納得してもらってできたイベントでした。
来場者数を伸ばすためには、クラブ全体の魅力を高めなければなりません。営業企画部では、媒体広告を出したり小学生の招待試合を企画したり、色々なアイディアを出してイベントを仕掛けています。また、「地域交流応援シート」というものもあります。これは、静岡市内の各自治体に試合の案内を出して、自治会長主導で参加者を募っていただくものです。試合当日は、各地区からバスを出し地区の方みんなで試合を観戦していただきます。こういった企画も2007年から継続的に行っています。そして、来ていただいたお客様に楽しんでもらうことが大切です。お客様はただ試合を観に来られただけではありません。試合結果は私たちにはどうしようもないことですが、スタジアムが開場してから試合開始までの2時間半、グッズやフードを購入していただくことや、楽しんでいただけるようなイベントを企画しています。私たちが提供している商品は、サッカー観戦という体験商品です。お客様の印象に残っていることは、試合結果や対戦相手も大事ですが、最終的にスタジアムに来て楽しかったかどうか、結局そういうところだと考えています。お客様の笑顔を見ることは、とても嬉しいですし、モチベーションになります。私たちが考えて仕掛けたものに対し、お客様にどのような反応をしていただけるかが私たちのやりがいとなっています。チャレンジするということに関して、うちのクラブは許されているので新しいことをやりやすいです。スポンサーを獲得することや、グッズ販売、入場者数を増やすことなど、いかにプラスのスパイラルを作っていけるかということが私たちの目指すことです。

サッカービジネスを大きくしたい!!

S-PULSE 1.jpg  今、私の大きなモチベーションとなっていることは、エスパルスというクラブがサッカービジネスで成長することです。エスパルスは、Jリーグという市場の限られた中にいます。潰れていないだけ良いという考え方もありますが、実はあまり成長していないのです。昨年クラブ創設20周年を迎えましたが、20年前と商売の仕方や試合の運営方法もあまり変わっていません。お客様は単純に試合を観に来ているだけではなく、サッカー観戦という体験全体を評価しています。会場で開催されるイベントやフードなども含めて私たちは商品力を高めていかなければいけません。私たちは1万数千人の来場者を基準にした今の考え方や手法を変えていかないと、エスパルスが現在の30数億円という経営規模から40億円、50億円という領域には踏み込めないかなと思います。
 今年入社9年目で個人的には、自分のビジネスの範囲をもっと全国へと広げたいと思っています。ただ、それはエスパルスの箱を飛び出すということではありません。まだこのクラブでやれること、もっとやりたいことがあるのです。サッカークラブは福利厚生ひとつとっても他の企業から見ると整っていません。自分が貧乏でもサッカークラブで働きたいかというと、そこのマインドは続かないと思うのです。社員の環境も良い状態にしないと良いアイディアや、更なるモチベーションも出てこないでしょう。ですから「サッカークラブで働いていて良いね」と羨ましがられるようなところを目指していきたいと思っています。

学生へのメッセージ

 まずは、サッカークラブで働きたいと思っているのであれば是非チャレンジして欲しいと思います。しかし、その学生全員に入社していただくことは正直、不可能です。会社の規模としてもあまり大きくありませんので、即戦力としてバリバリ働いていただきたいのです。やる気のある方に入ってもらいたいですが、スポーツの会社だけに体育会系の人しかいませんとなってしまうと組織として大きくなっていかない、成長しないと思いますので色々な人材に来ていただきたいです。
 私が大学時代にやっておけば良かったと思うことのひとつに英語があります。サッカーはW杯などもあり世界的なスポーツですし、広報時代は通訳がいないと外国籍選手とコミュニケーションが取れませんでした。それは痛感したので、もし出来るのであれば、英語はマスターした方が良いでしょう。
また、私は大学時代多くの時間をエスパルスやサッカーに費やしてきましたが、他の業界を見ておくのも良いと思います。もしかしたら数年後、その人とお仕事をする可能性もありますし。私自身後悔はしていませんが、大学を卒業して、当時はサッカーしか見ていなかったなというのは少し反省ですね。インターンシップは必ずしも行かなければならないというわけではありませんが、様々な経験が出来るというのは学生の特権だと思います。どこにいても、結局は自分の頑張り次第です。

<取材・編集/ 老田秀人、毛塚江莉、本田直也>