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尚美学園大学 総合政策学部 ライフマネジメント学科 スポーツコース 江頭ゼミ

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2014.7.24

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これまでの経歴

 生まれも育ちもこの清水です。小学生~中学生まで9年間サッカーをやっていまして、高校時代は一度サッカーから離れてハンドボールをやりました。大学は長野にある私立大学に進学しました。その際に「どうしてもサッカーをまたやりたい」と思い、サッカー部に入部しました。大学生の頃にJリーグが開幕しました。その頃はエスパルスのことをまだ「地元のクラブということで応援をしている」といったようにしか思っていなかったので、エスパルスに入社して働きたいと強く思っていたわけではありませんでした。ですから大学を卒業後、そのままエスパルスに入社したというわけではありません。今のエスパルスのお仕事に就くまでに、3つの仕事を経験してきました。
 まずは大学時代に就職を強く希望していた建設機械のメーカーへ就職しました。その後役員さんからのお誘いがありまして、エスパルスドリームフェリーを運行しているフェリー会社へ、そしてITの勉強がしたいと思いIT関連の会社へ入社しました。
3年間ほどIT関連会社に勤めていた頃、その会社が事実上倒産をしていました。その後、元々エスパルスへの憧れもありましたし、生まれ育った地元の清水への恩返しがしたいということ、そしてかつてのサッカー王国静岡を盛り上げたいという気持ちがありましてエスパルスに入社することを決めました。

 これまでの経験を生かしエスパルスでは営業企画部に配属されました。今年でエスパルスに入社をして7年目になります。営業企画部では簡単に言うと、クラブを運営するにあたっての資金を集めることを仕事としています。資金を集めること・・・簡単に言うとお金を稼ぐということですね。営業企画部ではそのお金を稼ぐための3つの柱というものがあります。一つ目は興行収入。チケットを買っていただいたお金になります。二つ目は広告収入。ユニフォームの広告であったり看板の広告であったりといったスポンサー料になります。三つ目は事業物販収入になります。これは主にグッズ等の販売で得られる収入のことです。この三つの収入をいかに増やすのかというのが営業企画部の主な仕事となっています。
それぞれの事業に担当者はいるのですが、私自身チケット販売やスポンサーの獲得、企画の立案等様々なことをやっています。

気をつけていること

spulse04.jpgエスパルスは株式会社ですので、利益を出さなければクラブを存続させることも難しくなってきます。サッカークラブはお客様商売ですので、利益を出すにはお客様に満足していただいてお金を支払っていただく、ということが大切になります。例えばスポンサー営業。提案書を作る段階において自分の中で、こんなことをしたらお客様に喜んでもらえるだろうなとか、お客様に「エスパルスを応援していて良かった」と言っていただけるのだろう等考えながら仕事をしています。

 私自身元々は地元のクラブを応援しているサポーターだったのですが、エスパルスのクラブ職員になってから7年。お客様目線というのを十分理解していたつもりでした。しかし、立場が変わると分かっていたようで解らないことが、たくさんあるということを実感しました。やはりお客様目線というのが一番大切なんですよね。これからはサッカーだけではなく、スタジアムグルメであったり、設備だったり、イベントだったり、といったものを充実させ、お客様の満足度を上げていきたいと思っています。

 他には、今まで実施していなかったことに取り組むということですね。企画などの面においても、前年と同じようなことをしていると、集客率が前年比で15%は下がってしまいます。集客率を維持、向上させるには前年比15%以上の努力をしていかなければなりません。それで、ようやく前年対比100%ということになります。並大抵の努力では、前年比も維持できません。クラブも新しいことを色々とチャレンジしていく必要があります。今シーズンは、スマートフォンからのチケット購入の方法を新しくしてみたり、映画「相棒」とコラボレーションをしてみました。昨年度で言うと、富士山が世界遺産に登録された際に、お祝いといった感じで近隣の様々な施設のチケットをいくつもプラスした特別な観戦チケットを普段のチケットと同じ値段で販売したら、お客様にとても喜んでいただけました。突拍子もなく発案したのが、日本一、いや世界一のサービスを提供する105万円チケットの販売です。プロ野球の横浜DeNAベイスターズさんが100万円チケットを発売した際に、「エスパルスで日本一企画チケットを出してみよう!」と思いました、リムジンでの送迎やディナーや帆船でのクルージングなどをつけたチケットを販売しました。販売にまでは結びつきませんでしたが、セレブの方からお問い合わせを何件か受けました。そのことを全国版で取り上げていただけまして、とても大きな宣伝になりました。

やりがい、楽しさ

spulse03.jpg私はこの仕事を楽しいと思っています。なぜ楽しいと思うことができるのか・・・それは「勝った・負けた、一喜一憂ができる仕事はそうそうありません」プロサッカークラブのお仕事をやっていると、試合ごとに「勝った・負けた」というのが目に見えて結果に出るわけです。勝ったときは隣に座っている見知らぬ人と抱き合ったり握手をしたり、クラブ内の雰囲気もとても良くなります。反対に負けたときにはサポーターの方からお叱りを受けたり、スポンサー様から「こんな順位で大丈夫か?早く優勝の喜びを味わいたい!」と言われます。そうなんです、エスパルスは、Jリーグデビジョン1に20年在籍していて、一度もJ2に落ちたことがない、クラブの1チームですが、その中で唯一、『年間王者』を経験していません。ファン・サポーター・スポンサーの皆さまは早くタイトルがほしいのです。

 試合結果一つで翌日全く違うことを考えなければいけない。そういったレールが用意された仕事ではなく、想定外のことが起こり続けるというところが魅力と感じています。ピンチの時こそ考える力が試されます。そのピンチを乗り越えられた時の達成感がとても大きい。”ピンチをチャンスに変える”そんな取り組みを、全社挙げて行っていきたいですね。

大学生に向けてのメッセージ

 やっぱり夢を持つことや、やりたい仕事を見つけるということは大切だと思います。目標が定まったら自然と今自分がやらなければいけないことが見えてくると思います。自分の目標の実現に向かって一生懸命取り組むことが必要ですね。クラブ職員になりたいのであれば、業界の勉強をしておくことです。私たちもマーケティングの勉強をしに行きますが、今のうちから勉強をしてJリーグだけではなく、海外クラブの成功事例をよく知っておくことも大事かなと思います。

 Jリーグのクラブはなかなか定期採用を行えずにいます。そして採用するとしても一から教育を行わなければならない新卒ではなく、社会人としての経験もある程度積んで色々なノウハウを持っている人を中途採用するという形をとってしまいがちです。ただ、新卒であってもキャリア組と同じもの、それ以上のものを持ち込めますというぐらいのアピールがあれば、通常の新卒の履歴書を提出するのとは違ってきます。実際クラブとしては人手が足りていないのです。インターンシップに限らず、試合のお手伝いに来ていただいたりするのも良いと思います。採用に直結するか否かは別としても、現場に出て一緒に働くということはクラブの職員に自分をアピールすることができる絶好の機会になると思います。そしてただインターンシップをするだけでなく、例えば「ワンデーの企画を立案しました、是非見てください」なんてクラブに持ち込んだりするのも良いと思います。本当にこの仕事に就きたいと思ったら、みんなと同じスタートラインではダメ。人と違うスタートラインを自ら作るのです。今の大学生はとてもクールで優秀です。時には恥ずかしさを捨てて、泥臭くやって夢に向かって頑張ってほしいです。そしていつの日か共に働ける日が来ることを祈願します。

<取材・編集/ 柏原美月、藤井みなみ、柳澤 憂>