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尚美学園大学 総合政策学部 ライフマネジメント学科 スポーツコース 江頭ゼミ

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日本のスモール・リーグ

「観客が入らないことが原因で日本の野球がダメになる」2008年に四国・九州アイランドリーグの指導者に、著者が言われた言葉である。
 2005年4月28日に開幕した日本発の独立プロ野球リーグ、四国アイランドリーグは、将来のNPB選手を目指そうとする選手たちによる、地域文化に根ざした従前のプロ・アマに属さないリーグ創設を目指すことを目的として設立された。開幕当初四国4県から1球団ずつが参加していたが、2008年シーズンより福岡、長崎の2チームを加えて名称を変更。しかしながら観客数が伸び悩み2010年に九州から参加の2チームが撤退。2011年から参加した三重は運営上の問題を理由に1年で撤退。2012年シーズンは四国4県の4球団という編成に戻っている。観客数は減少傾向にある。開幕した2005年は1試合平均1068人であったが、2011年には503人となった。鍵山CEOは、「無料券の配布を抑制して有料観客を増やす努力により動員減でも収支は改善している」と2011年12月の文章で述べている(1)。

 こういった状況は四国アイランドリーグに限ったことではない。2007年4月28日に開幕した北陸・信越地方5県と関東地方1県を活動地域とするプロ野球の独立リーグ「ベースボール・チャレンジ・リーグ」も観客数が伸び悩んでいる。2007年1試合平均観客数が1790人であったものが、2009年には1295人になっている。2005年に開幕した日本プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)も2005年平均2078人から2011年1818人と10%程度の減少が見られる。この傾向を食い止めなくては、我が国におけるスモール・リーグが衰退してしまう。
(1)(鍵山誠CEO「来季は”うどん”オリーブガイナーズ?」”. SPORTS COMMUNICATIONS「野球西国巡り」 (2011年12月20日). 2013年2月26日閲覧(http://www.ninomiyasports.com/sc/modules/bulletin/article.php?storyid=4042))

アメリカ・マイナーリーグに学ぶ

 人口の少ない中小規模の都市で、集客に成功している事例が存在する。アメリカのマイナー・リーグ球団(野球)は300近く存在するが、いずれの球団も中小規模の都市に本拠地を置いている。本拠地人口が100万人未満の都市が大多数でありながら、観客数に困窮する球団は少ない。1試合平均の観客数が1000人を下回る球団は極めて少ない。マイナー球団の状況に限定すれば「人口が少ない都市ではプロスポーツチームの経営は困難を極める」という前述の考え方は、あてはまらない。マイナー・リーグの本拠地人口と観客数の関係には、日本のスモール・リーグには存在しない「何か」が存在する筈である。本論ではこの「何か」を探すことを目的とし、我が国におけるスモール・リーグの恒久的な課題解決を支援するものである。

都市人口が多過ぎると観客数が減少する

人口1万人の町でレストランを開業するのと、人口2000人の町でレストランを開業するのと、どちらがいいだろう。感覚的には人口が5倍いる1万人の町を選ぶだろう。マイナー・リーグでは人口と、消費者の正比例関係が当てはまらないのだ。
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左のグラフは、人口1000人当たりのマイナー・リーグ入場者数分布を示した。グラフの右に行くと地域人口が増加する。このグラフではカウンティ(群)の人口だ。1000人当たりの来場数が激減する。グラフの形としては、カウンティ人口数に反比例して減少している形に見える。マイナー・リーグのスタジアムは5000人から1万人のキャパシティが中心なので、分母にあたる人口が増えれば、来場者数が減少するのは当然とも言える。しかし人口の多いカウンティにあるチームの入場者状況を見てみると、スタジアムが満員になってこれ以上入らない。という状況は1チームしか無い。ニューヨークにある Brooklyn Cyclonesだけだ。CyclonesはメッツのシングルAチームで年間75試合で、ホームは37試合前後を開催している7500人収容するスタジアムは毎試合完売の状況だ。
同じエンタテインメント産業で比較すると、映画の場合には都市人口が増えても1000人当たりの鑑賞者数は変化が無い。タイトルによっては人口が多い都市になると鑑賞者が増加する傾向も発生している。エンタテインメントに限らず、都市人口が増加すれば消費が増加するのが妥当だと感覚的に考えられる。映画はこの法則が当てはまるが、マイナー・リーグでは当てはまらない。都市人口が100万人を超えると、観客動員数が減少傾向になる。この現象の奥にどのような理論が存在するのか、既存の経済学の理論や、行動経済学用域、消費者行動理論などを基盤にさらなる研究を続けている。