title2.png
尚美学園大学 総合政策学部 ライフマネジメント学科 スポーツコース 江頭ゼミ

HOME > Research > 徳之島トライアスロンー研究

HEAD_3athlon.gif

3athlon-R1.jpg

70%近くがリピーターの理由

 鹿児島県徳之島で毎年6月に開催されているトライアスロン大会を対象に、参加者の参加目的カスタマー・バリューを分析しています。参加者の70%近くがリピーターであり、20回以上連続出場の参加者も10%以上と、この大会の価値は高いと判断してもいい材料は充分に揃っていますが、その要因を特定する調査・研究が行われてきませんでした。そこで江頭ゼミでは、参加者への調査を毎年行っています。まだ調査を開始して3回目ですので明確な要因特定には至っていません。ですが方向性は見えて来ました。参加者の目的は「完走」である。と定義した場合。徳之島の大会にには「完走可能性」を向上させる様々な事柄が存在する、と考えられます。

 スポーツイ・ベントへの参加モチベーションを論じた先行研究には興味深い論文が存在します。一般の消費財と異なり、スポーツ・イベント参加者の消費意欲は一貫性がないと指摘されています(マリンズ、ハーディ&サットン1993)。食品であれば、品質と安全性と価格の3点で、大多数の消費者は商品を検討し、購入決定をするのに比べて、スポーツ・イベントの消費者は評価軸が分散していると、論じています。スポーツ・イベント参加者に対して詳細な調査が行われています(アセール1992)。コースの面白さ、競技レベルの高さ、レースの距離、開催地が魅力的か、他の大会との日程関係、競技運営の質、大会の雰囲気、参加費用、広告宣伝の9項目について調査しています。その結果重視する項目は、開催地が魅力的か(0.92)、参加費用(0.62)、競技運営の質(0.50)、コースの面白さ(0.28)であったと報告されています。

完走可能性支援要因

これらの先行研究を踏まえた上で、私たちは、徳之島トライスロン大会で2011年より参加者へのアンケートを実施してきました。その結果参加者の過半数が参加目的に「完走」と解答していることから、現在この「完走可能性支援要因」を様々な角度で調査中です。

3athlonR2.jpg私たちのひとつの仮説として「沿道の応援」があります。徳之島トライアスロンは全島を挙げてのイベントになっています。その結果、沿道に多くの人が立ち、バイクやランで駆け抜ける選手たちを応援する習慣が発生しています。全島の人口27000人の殆どが、大会の日には選手に声援を送っていると、大会本部天城町職員は言っています。
 沿道の応援はさながら「花見」の様です。近隣の人たちがコース近くに集まって、ゴザをひいてお弁当を拡げます。大人は黒糖焼酎を呑みながら、子どもは選手に手渡すスポンジや果物、飲み物などの準備をしながらレースが始まるのを待っています。選手がやってくると太鼓を叩き、ホースで選手に水を掛けたり、果物や水を手渡すコトを全員で楽しんでいます。こういった私設エイドステーションは、20kmのランコースだけで50以上あると大会関係者は言います。単純計算すると400mに1回の割合で私設エイドステーションが出現するのです。走っているランナーは疲れ果てても「歩く」ヒマが無いといいます。「太鼓の音と子ども達の歓声が聞こえてくると歩いていられない」というのです。そうして走っているうちに、どんどんゴールが近づいて来る。辛くシンドイ思いをするヒマが無い。と多くの完走者が口にします。

沿道で応援する人々が花見のように楽しんでいること、私設エイドステーションが選手たちに与える影響を調査研究し、一般化することで他の大会への成功手法として再現可能になることを目的として、研究を継続しています。